第2章 力をつくる / 07
車を動かすエネルギーはどこから来るか
第1章で、板と車輪に走る・曲がる・止まる仕組みを加えました。ここからは「走る」の内側へ。車は、何を受け取って動き続けるのでしょう。

疑問|坂を上った分は、どこから来た?
手で押した台が坂を上ると、押す人は疲れます。人の代わりに装置を載せても、何も使わずに上り続けられるわけではありません。高い所へ車を持ち上げるにも、止まっている車を加速するにも、エネルギーが必要です。エネルギーとは、運動や温度など、ものの状態を変えるために受け渡される量です。
問題|平らな道でも、使い続ける理由
走っている車は空気を押し分け、タイヤを変形させます。その過程で、車の運動に使えたエネルギーが周囲へ熱などとして移ります。一定の速さなら運動エネルギーは増えませんが、抵抗で失う分を補い続けなければ速度は下がります。坂を上るときは、さらに重力に逆らって位置エネルギーを増やします。
発明|蓄えるものと、変換する装置を分ける
燃料は化学エネルギーを持ち、エンジンは燃料と空気を使って回転を取り出します。充電した電池は化学的な状態の違いとしてエネルギーを蓄え、電気回路を通じてモーターへ渡します。燃料も電池も、それだけで車輪を回す装置ではありません。どの形で蓄え、どの装置で変換するかを一組として考えます。
仕組み|量・速さ・回す作用を区別する
エネルギーの単位はジュール(J)です。動力、つまり仕事率は、単位時間に受け渡すエネルギーで、単位はワット(W)。同じ坂を同じ車で上る場合でも、短い時間で上れば大きな平均動力が必要になります。トルクは軸を回す作用の大きさで、単位はニュートンメートル(N·m)です。軸の動力はトルクと回転の速さの両方で決まります。軸が止まっていれば、トルクがあってもその軸から回転による仕事は取り出されていません。
燃料の化学エネルギーや電池から取り出した電気エネルギーのすべてが、車の運動になるわけではありません。エンジンの排気や冷却、モーターや配線の発熱などにも分かれます。図の枝は、その行き先を忘れないためのものです。矢印の太さは量の比率を表しません。
進化|回収できる分を使い直す
減速中にモーターを発電機として働かせると、車の運動エネルギーの一部を電気へ変え、電池に戻せます。これが回生です。ただし変換の損失や電池の受け入れ限界があり、失った分を全部取り戻せる仕組みではありません。燃料や充電電力が車に届くまでのエネルギーもありますが、この章では車内での変換を中心に追います。
この図鑑は理解のために機能を加える順で構成しています。歴史上の発明順序を示していません。図は原理の説明で、実車の整備・製作手順ではありません。