第7章 電気と判断 / 40
ライトで見る・見つけてもらう
明るければ明るいほどよい? 車の光は、見る人だけでなく、向こう側の人の目にも届きます。
疑問|自分のライトなのに、相手にも必要?
暗い道では前照灯が路面を照らします。路面や物体で反射した光の一部が目に届き、形や位置を見分けられます。ライトから光が出るだけで、道の情報が直接目に入るわけではありません。
一方、周囲の人は車の灯火を見て、その存在や動きの手がかりを得ます。自分が見る役割と、相手に見つけてもらう役割。車の灯火には、両方の仕事があります。
問題|遠くを照らす光が、誰かの目をくらませる
遠くまで見ようと光を上へ広げると、対向する人や前方の車のミラーに強い光が届くことがあります。まぶしさは不快なだけでなく、周囲の暗い物を見分けにくくします。単純に光量を増やしても、みんなが見やすい道にはなりません。
雨の路面は反射の仕方が変わり、霧や雪では空気中の水滴などが光を散らします。光が手前で散って明るく見えても、その先がよく見えるとは限りません。灯火の性能と、道路や天候の条件を分けて考える必要があります。
解決|必要な場所へ光を配る
光をどの方向へどれだけ送るか、その分布を「配光」と呼びます。前照灯は反射鏡やレンズなどで配光をつくります。すれ違い用の光では、相手へのまぶしさを抑えながら、必要な範囲を照らすよう設計します。
遠くを照らす走行用の光は、より先の情報を得るために役立ちますが、周囲の状況に応じた切り替えが必要です。具体的な操作は車の取扱説明書や、その場所に適用される交通ルールで確認する領域です。ここでは光の働きを考えます。
仕組み|光で伝える内容を分ける
尾灯は後方から車の存在を捉える手がかりになり、制動灯はブレーキ作動を周囲へ伝えます。方向指示器は曲がる、進路を変えるといった意図の手がかりです。ただし点灯だけで、その後の動作や安全が保証されるわけではありません。周囲の位置や速度も合わせて見ます。
反射器は自分では発光せず、外から受けた光を光源の方向へ戻しやすくする部品です。電気を使う灯火とは別の仕組みで存在を知らせます。また、室内の計器も明るすぎると外の暗い景色を見にくくするため、車内外の光の釣り合いが重要です。
進化|小さな光源を細かく使い分ける
LEDは電流で光る半導体の光源です。小さな光源を配置しやすく、点灯を細かく制御できる利点があります。ただし光に変わらないエネルギーは熱になるので、放熱設計も欠かせません。LEDという名前だけで、配光の良し悪しまでは決まりません。
前方の車などを検出し、一部の照射領域を抑える配光制御を備える車もあります。遠くの見やすさと相手への配慮を両立させる工夫ですが、検出の遅れや天候の影響があります。光を自動で動かせても、周囲の状況への注意まで不要になるわけではありません。