交差点で「自分が先に進んでよいのか」と迷ったときは、自分に適用される信号や標識、道路の優先関係、相手の進む方向を確認しましょう。これらを一つの絶対的な順番にまとめることはできません。それぞれのルールが適用される条件を確かめることが大切です。
一時停止や、条件に応じた徐行、他の車両等の進行を妨げないことは、法律上の義務です。一方、さらに早めに速度を落として判断の余裕をつくることは、安全のための助言です。優先される側でも、相手が止まると決めつけず、周囲を確認してください。
まずは信号と「止まれ」を確認する
交差点に近づいたら、自分の進路に対応する信号や標識、警察官の指示を確認します。前の車が進んだからといって、そのまま続かないようにしましょう。青信号でも、右左折する先の横断歩道や対向車の確認が必要です。
第43条は、交通整理が行われていない交差点、またはその手前の直近で、道路標識等によって一時停止が指定されている場合の義務を定めています。停止線がある場合はその直前で、停止線がない場合は交差点の直前で、完全に止まらなければなりません。ゆっくり動き続けるだけでは、一時停止になりません。
同条では、交差する道路を通行する車両等の進行を妨げてはいけないことも定めています。ただし、条文には第36条第2項に該当する場合を除く旨があり、交差道路との関係は、次節の優先道路や道幅の条件と併せて確認する必要があります。一度停止しただけで、無条件に進めるわけではありません。警察庁の条文掲載資料(9ページ)
塀などで左右が見えなくても、まず指定された位置で停止します。その後の安全確認の方法として、周囲に注意しながら徐行して見通せる位置まで進み、必要に応じて再び止まります。この再停止を、すべての交差点で一律に必要な停止回数として理解しないようにしましょう。神奈川県警察の解説
信号のない交差点では、優先道路と道幅を確認する
信号や警察官の指示による交通整理が行われていない交差点では、第36条に定められた交差道路との関係を確認します。
法律上の「優先道路」は、道路標識等で指定されている道路のほか、交差点内に道路標識等による中央線または車両通行帯が設けられている道路です。交差点の手前に線があるだけで判断せず、交差点内の表示も確認しましょう。単に道幅が広いことと、優先道路であることは別です。
自分が優先道路を通行していない場合、交差する道路が優先道路であるか、その幅が自分の道路より明らかに広いときは、その道路を通行する車両等の進行を妨げてはいけません。また、交差点に入る際には徐行しなければなりません(第36条第2項・第3項)。
例えば、優先道路ではない住宅街の細い道から、明らかに広い道路へ出る場面です。「自分は直進だから先」と考えず、交差道路の車が通過できるように待ちます。
自分が優先道路を通行している場合は、交差道路の幅が明らかに広いという理由だけで、第36条第2項・第3項の義務が課されるわけではありません。ただし、優先道路であることを理由に、信号や一時停止の指示を無視することはできません。警察庁の条文掲載資料(8ページ)
同じくらいの道幅なら、左方から来る車との関係を見る
交通整理が行われておらず、どちらも優先道路ではなく、道幅にも明らかな差がない場合、自動車同士では、左方の道路から進行してくる車の進行を妨げてはいけません(第36条第1項第1号)。
自分から見て左側の道路から車が近づいているなら、その車の進行を妨げないように待ちます。「先に交差点へ入った方が勝ち」と考えて加速するのは危険です。左方優先を理由に、自分に適用される一時停止の指示を無視することもできません。
この左方優先は、交差する道路から来る自動車同士の関係についての説明です。これに対し、第37条は、交差点で右折する車両等が、その交差点で直進・左折しようとする車両等の進行を妨げてはならないと定めています。対向車に限ると読める説明にならないよう注意してください。第36条の左方優先と第37条の右折時の義務は、適用場面が異なります。 信号・標識・一時停止などの条件も併せて確認し、どちらか一つのルールだけで進行の可否を決めないでください。警察庁の条文掲載資料(8ページ) 第37条については道路交通法(e-Gov)も参照してください。
見通しの悪い交差点では、徐行義務の条件を確認する
第42条第1号は、左右の見通しがきかない交差点での徐行義務を定めています。ただし、交通整理が行われている場合と、優先道路を通行している場合は、この規定の対象から除かれています。
この徐行義務は、運転経験や確認の得意・不得意にかかわらず適用されます。また、第42条第1号の除外条件に当たることだけで、右左折などに伴う別の徐行義務までなくなるわけではありません。警察庁の条文掲載資料(8ページ)
安全上の助言としては、除外条件に当たる場合も、見えない場所から車や人が出てくる可能性を考え、速度を調整して周囲を確認しましょう。
右左折の方法と、右折時の対向車との関係を分ける
第34条は右左折の方法を、第37条は右折する車両等が、同じ交差点で直進・左折しようとする車両等の進行を妨げてはならないことを定めています。条文上、相手を対向車だけに限定していません。曲がり方の義務と、相手の進行を妨げない義務を分けて理解しましょう。
「右折車はどんな条件でも必ず最後」という一律の順番にはまとめられません。信号や一時停止規制など、それぞれの車に適用される義務も確認する必要があります。相手の信号や標識などの条件も関係するため、状況を一つの優先順位だけで判断しないでください。
安全上は、対向車が近づいているときに無理に曲がらず、十分な間隔と進路の安全を確認しましょう。相手が手で譲る合図をしても、車の陰から二輪車などが来る可能性があります。曲がる前には対向車を、曲がった先では横断歩道や歩行者を確認してください。
横断歩道と、その周辺の人にも目を向ける
横断歩道に近づくときは、自分の進路の前方を横断する歩行者がいないことが明らかな場合を除き、横断歩道の直前で停止できる速度で進まなければなりません。
自分の進路の前方を横断中、または横断しようとしている歩行者がいる場合は、横断歩道の直前で一時停止し、その通行を妨げてはいけません。停止線がある場合は、その直前で止まります(第38条第1項)。
同項は、自転車横断帯を横断する自転車も対象としています。また、交差点やその直近では、横断歩道がない場所を横断中の歩行者の通行も妨げてはいけません(第38条の2)。警察庁「横断歩道は歩行者優先です」
車同士の優先関係だけに気を取られず、左右と進行先を確認しましょう。早めに速度を落とし、確認する時間を確保することは安全上の助言です。歩行者等に対する法的な停止義務や通行を妨げない義務とは、区別して理解してください。