第2章 力をつくる / 10
モーターはどう回るか
エンジンが気体の圧力を受け取るのに対し、モーターは電気と磁界の作用で回転をつくります。磁石を置くだけでは、回り続けられないところから考えましょう。

疑問|引き合うだけなら、そこで止まるのでは?
磁石どうしは引き合ったり反発したりします。でも自由に動く磁石は、安定する向きで止まってしまいます。車を走らせるには、その向きを通り過ぎても回す作用が続く必要があります。鍵は、電流で磁界をつくり、その向きや強さを回転に合わせて変えることです。
問題|電池をつなぐだけでは、狙いどおりに回せない
モーターには、固定された部分のステーターと、回る部分のローターがあります。電池からは直流の電力が供給されますが、多くのEVの駆動モーターでは、コイルに流す電流を順に変えて回転する磁界をつくります。電池とモーターの間には、電流を制御する装置が必要です。
発明|電流でつくる磁界を、回転と歩調を合わせて動かす
コイルは導線を巻いたもので、電流を流すと磁界が生まれます。代表的な永久磁石同期モーターでは、ステーターの複数のコイルに流す交流の組み合わせで磁界の向きを回し、永久磁石を持つローターとの作用でトルクを発生させます。同期とは、定常運転で回転磁界とローターの回転が対応する関係にあることです。
仕組み|インバーターが電流を整える
インバーターは電力を高速に切り替え、電池の直流からモーターに必要な交流をつくる装置です。制御装置はローターの位置や速度などに応じ、電流の大きさとタイミングを調整します。コイルの磁界とローターの磁界の位置関係がトルクに関わるため、電気を大量に流すだけでは適切に回せません。
モーターは停止中でもトルクを発生できます。ただし、そのとき軸から出る回転の動力はゼロです。電流が流れていればコイルなどは発熱し、電池のエネルギーを使います。また回転が速くなると、回転によって生じる電圧や電源の電圧、温度などが制約となり、どの速度でも同じトルクを出し続けられるわけではありません。
進化|回す装置を、発電にも使う
回生時には、車輪側から回されるモーターが発電機として働きます。軸の機械的な仕事を電気へ変え、その反作用が車の減速に役立ちます。通常の駆動では電気から軸へ、回生では軸から電気へと流れが逆になります。同じ機械が両方の役割を担えても、運転中の役割は区別しましょう。
この図鑑は理解のために機能を加える順で構成しています。歴史上の発明順序を示していません。図は原理の説明で、実車の整備・製作手順ではありません。