第2章 力をつくる / 12
ハイブリッドは二つの動力をどう使うか
エンジンとモーターを載せたら、いつも両方で全力を出せばよいのでしょうか。二つを組み合わせる価値は、足し算だけでなく、場面ごとに役割を変えられることにあります。

疑問|二つあるなら、いつも一緒に回す?
発進、一定速度の走行、上り坂、減速では、車に必要な動力が変わります。エンジンもモーターも、どんな状態でも同じ効率で働くわけではありません。ハイブリッド車は運転状態や電池の残量などに応じて役割を配分し、燃料の使用や排出を抑えることを目指します。
問題|片方の得意だけでは、走行全体を賄えない
エンジンは燃料から長時間の走行に必要なエネルギーを得られますが、低負荷などでは効率が下がることがあります。モーターは停止状態からトルクを出せ、減速時には回生もできますが、電池の蓄えと出し入れできる電力には限界があります。装置を増やすと重さや変換損失も増えるので、二つ載せるだけで必ず有利になるわけではありません。
発明|エネルギーの経路を選ぶ
シリーズ方式では、エンジンが発電機を回し、車輪はモーターで駆動します。エンジンから車輪への機械的な直結経路はありません。パラレル方式では、エンジンとモーターの両方が機械的に車輪を駆動できる構成を持ちます。動力を分配する方式などもあり、「ハイブリッド」という名前だけで車内の経路を一つに決めることはできません。
仕組み|発電と駆動を、別の仕事として追う
図のシリーズ方式で、燃料から車輪までを追いましょう。エンジンが燃料の化学エネルギーから軸の仕事を取り出し、発電機がその仕事を電気へ変え、モーターが電気を再び軸の仕事へ変えます。発電した電力は、電池を充電する場合だけでなく、電池を経ずにモーター側へ供給される場合もあります。電池は需要と供給の差を一時的に受け持ちます。
発進では電池の電力で走り、強い加速では発電電力に電池の電力を加え、減速では回生で電池へ戻す、といった使い方ができます。ただしエンジンを始動する条件や電気だけで走れる範囲は車種や状態で変わります。エンジンを効率のよい条件で使える利点と、発電や駆動で生じる損失の両方を考える必要があります。
進化|外から充電する選択肢もある
プラグインハイブリッドは外部から充電でき、電池の電気を使う走行範囲を広げたものです。一方、外部充電をしないハイブリッドでは、電池のエネルギーは主にエンジンによる発電や回生から来ます。回生はもともとの運動エネルギーの一部を取り戻す働きで、新しいエネルギー源ではありません。燃料と外部充電の寄与を分けて見ることが大切です。
この図鑑は理解のために機能を加える順で構成しています。歴史上の発明順序を示していません。図は原理の説明で、実車の整備・製作手順ではありません。