第3章 力を伝える / 14
歯車で何が変わるか
小さな歯車が大きな歯車を回すと、速さを渡す代わりに、回す力を増やせる。

疑問|大きさの違う歯車を組み合わせると?
二つの歯車がかみ合うと、一方の歯が相手の歯を押します。小さいほうが一周したとき、大きいほうも一周するでしょうか。答えの手がかりは直径を眺めることより、「何枚の歯が通り過ぎたか」を数えることです。
問題|動力源の回転が、そのまま使えるとは限らない
エンジンやモーターが得意な回転速度と、車輪にほしい回転速度は違います。車輪をゆっくり力強く回したいときに、動力源そのものへ無理をさせるだけでは限界があります。回転を途中で組み替える仕組みが必要です。そこで、歯が一枚ずつ順にかみ合う関係を使います。
発明|同じ歯の通過数を、違う一周に分ける
入力側を20歯、出力側を40歯とします。入力が一回転して20枚の歯を送る間、出力も20枚分だけ進むので半回転します。入力が毎分100回転なら出力は毎分50回転です。この例で減速比を「入力回転速度÷出力回転速度」と定めると、値は2です。歯の間隔が同じ、かみ合う歯車では、出力歯数÷入力歯数でも求められます。
仕組み|速さは半分、トルクは約2倍
かみ合う場所では、二つの歯車は互いに同じ大きさの力を反対向きに受けます。大きな歯車は、その力を中心から遠い位置で受けるので、トルクが大きくなります。理想的には、入力2 N·mが出力4 N·mになります。実物では歯面や軸受で損失が生じるため、受け取れる出力トルクは理想値より小さくなります。
これはエネルギーを増やす魔法ではありません。トルクが2倍になる代わりに、一秒間に回る角度が半分になるので、仕事率は理想条件で同じです。反対に大きい歯車で小さい歯車を回すと、速さが増えてトルクは減ります。
外側に歯のある歯車二つは、互いに逆向きに回ります。間にもう一つ歯車を入れれば、最初と最後を同じ向きにできます。単純な一列の歯車では、中間の歯数は最終的な速さの比を変えません。ただし、一つの軸に大きさの違う歯車を固定して次の組へつなぐ構成なら、各段の比が掛け合わされます。
進化|歯の形も、軸の向きも選べる
斜めに歯を切ったはすば歯車は、歯が徐々にかみ合い、回転を滑らかに伝えやすい一方、軸方向の力への対策が必要です。かさ歯車は交わる軸の間で回転を伝えます。車には、静かさ、置き場所、受ける力に合わせた歯車が使われています。
一定の減速比は扱いやすいものの、発進にも高速走行にも同じ比が適するとは限りません。次の問いは、走りながら使う比を選び直せないか、です。