第4章 道路とつながる / 20 / 空気圧
空気入りタイヤは何を支えるか
重い車の足もとにあるのは、ゴムのかたまりではなく、空気を閉じ込めたしなやかな構造です。

疑問|見えない空気が、重い車を持ち上げる?
風船は指で押せるのに、タイヤは何百キログラムもの荷重を受け持てます。空気に、特別な硬さがあるのでしょうか。鍵は、閉じ込めた空気の圧力と、その空気を包む丈夫な骨格です。どちらか一方だけでは、車の足として働けません。
静止した車では、車体や荷物の重さが車輪へ伝わり、道路からの上向きの力とつり合います。空気入りタイヤは、その途中で形を保ちながら少しつぶれ、道路に接する面をつくっています。
問題|硬い車輪と柔らかい袋の間を探す
完全に硬い車輪は形を保ちやすいものの、小さな段差を越えるたびに強い衝撃を伝えます。反対に、丈夫な骨格のない袋では、車の重さや横向きの力を受けたときに形が大きく崩れます。
必要なのは、小さな凹凸にはなじみ、重さや曲がる力には負けない足です。縦に支えることと、横に踏ん張ることを、同じタイヤで両立しなければなりません。
発明|張った骨格の中に空気を閉じ込める
タイヤの中には、カーカスと呼ぶ繊維などの骨格があり、空気圧によって張られています。路面側には、形を安定させるベルトを備える構造もあります。車輪の金属部分であるリムと接する縁には、ビードと呼ぶ丈夫な部分があります。
空気圧は内側の壁をあらゆる向きに押します。そのため骨格に張力、つまり引っ張る力が生まれます。車の重さがかかると接地部分が平らになり、圧力と骨格の力のつり合いが変わって荷重を支えます。「空気だけで浮かぶ」のでも「下側のゴムの柱だけで支える」のでもありません。
仕組み|圧力と面積で、支え方を考える
大まかな見積もりでは、タイヤにかかる荷重を内外の圧力差で割ると、接地面積の目安になります。例えば荷重が3,000ニュートン、圧力差が200,000パスカルなら、計算上は0.015平方メートル、つまり150平方センチメートルです。これは説明用の数値で、実際には骨格の硬さや形も効くため、そのまま正確な面積にはなりません。
同じ荷重で空気圧が低くなると、一般にタイヤのつぶれが大きくなります。転がるたびに側面などが大きく曲がると発熱も増えます。逆に圧力を高くすれば、どんな場合にも性能がよくなるわけではありません。衝撃の伝わり方や接地の分布も変わります。
空気の圧力は温度にも左右されます。走行で温まったときと冷えているときでは値が違うため、比べる条件が大切です。実際の管理では車両の指定と取扱説明書に従い、記事中の例を設定値として使わないでください。
進化|柔らかさを場所ごとに作り分ける
骨格の向きや材料、側面の厚さ、ベルトの構成を変えると、縦のしなやかさと横の踏ん張りを調整できます。タイヤは空気の袋に模様を付けただけではなく、場所によって役目の違う複合構造です。
空気圧の低下を知らせる仕組みや、圧力を失ったときにも一定条件で荷重を支える設計もあります。ただし使える速度や距離などには製品ごとの条件があります。どんな構造でも、異常が起きたまま無制限に走れるという意味ではありません。